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プレミアムフラワーの花コラム

第95回:クレマチス~愛、乙女、それとも悪魔?

2025.08.1

 旧暦に基づいて季節を分ける季語は、現在の季節感とは合わないこともあります。風を受けて涼やかに回る風車は“夏の風物詩”として紹介されることが多いのですが、季語は夏ではなく春でした。
 《あたゝかき風がぐるぐる風車(正岡子規)》

風車にそっくりな花

 その「風車」という別名を持つ花が、春からこの暑い夏、さらには秋にかけて咲くクレマチスです。見ての通り花の形は風車にそっくりです。クレマチスのツルは鉄のように固いことから「鉄線(鉄仙)」という別名もあります。

人気の高い「つる性植物の女王」

 キンポウゲ科センニンソウ属 (クレマチス属)のクレマチス=写真左側=は300以上の品種があり、背丈は50cmから3mを超えるものまで様々。大・中輪の一重の花が多く、花色は代表的な紫のほか青、白、ピンク、黄、青色など色彩豊かです。植栽として人気が高く、「つる性植物の女王」とも言われます。
 センニンソウ(仙人草)=写真右側=をクレマチスの別名として紹介したサイトもありますが、同じ花ではありません。センニンソウはクレマチスの原種で、果実に付く綿毛が仙人の髭に似ていることから、この名前が付けられました。

愛はからみつく?

 『365日誕生花の本』によると、ヨーロッパではクレマチスには「愛」という別名もあります。何かにからみついて成長する姿から付けられたと言われます。名付けた人は数ある愛の中でも《おどろおどろしい愛》を連想したようです。
 背丈が高く、涼しい日影を提供することから「乙女の木陰の休憩所」「旅人の喜び」などとも呼ばれます。「悪魔の髪型」という変わった別名もあります。花の中心部の雌しべの形が似ているということでしょうか?

ところ変われば別名も変わる

 日本では見た目で「風車」「鉄線」という別名が付けられましたが、ヨーロッパでは見た目からさらに想像をめぐらせ、ひとひねりした名前が生まれました。同じ花から「愛」「乙女」「悪魔」などと全く異なるイメージを思い浮かべたのも面白いところです。ところ変われば、名前の付け方も変わってきます。

クレマチスの季語は?

 ところで、品種によっては春、夏、秋と季節を問わずに咲くクレマチス(鉄線)の季語は? 調べてみると、夏でした。
 《てっせんは花火の花のたぐひかな(北村季吟)》
 《いつ来ても水打ってあり鉄線花(米田双葉子)》
 風車と違って、この季語は今の季節感に合いました。

※参考図書
「366日誕生花の本」(著者:瀧井康勝、発行所:日本ヴォーグ社)
「12か月栽培ナビ④ クレマチス」(著者:金子明人、発行所:NHK出版)
「色分け花図鑑 クレマチス」(著者:杉本公造、発行所:学研教育出版)

※参考サイト
「花の名前の不思議 / 前編」
「みんなの趣味の園芸 クレマチスとは」
「日本薬学会 センニンソウ」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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