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花コラム

花コラム 第44回:穏やかに暮らせる幸せを再び~スズランに託して

プレミアムフラワーの花コラム

2021.4.5

第44回:穏やかに暮らせる幸せを再び~スズランに託して

 「美しい花には棘(とげ)がある」と聞けば、バラやアザミが思い浮かびます。この諺(ことわざ)に引っ掛けて言えば、「可憐な花には毒がある」こともあります。その一つが、意外なことに世界中で愛されている、あのスズランです。これから5月にかけて、見頃を迎えます。

鈴のような花と蘭のような葉

 スズランはスズラン亜科スズラン属に属する多年草です。小さな鈴のような花と蘭のような葉の形から、鈴(スズ)蘭(ラン)と名付けられました。この名前で十分のように思えますが、他にも多くの別名を持っています。

君影草は小鈴を振るように咲く

 良く知られているのは、ロマンチックな響きの君影草(きみかげそう)でしょう。「♫白い小鈴を ふるように 君影草の 花が咲く♫」。1999年に日本レコード大賞金賞を受賞した『君影草』(作詞:水木かおる、作曲:弦哲也)は、川中美幸がスズランに儚い恋を重ね合わせて歌い上げたものでした。

花の名前にも時代が

 君影草の名前の由来を本やネットで調べると、「葉の陰でひっそりと咲いている姿が、男性の後ろでたたずむ古き日本女性のイメージと重なる」という説が大半でした。女性は男性の前に出てはいけないーという固定観念にとらわれていた頃に命名されたようです。今では、このようなイメージは通用しません。花の名前にも、時代を感じます。

故ダイアナ妃も手にしたスズラン

 「谷(間)の百合」「谷間の姫百合」の別名もあります。英語名「Lily of the valley」からきています。ヨーロッパでは「聖母の涙(Our Lady’s Tears)」と呼ばれることもあります。キリスト昇天の日の花はスズランとされています。
 結婚式の花としても知られ、イギリスの故ダイアナ妃が挙式の時に手にしていたブーケの中にはスズランも入っていました。

毒性は青酸カリの15倍も

 色々な名前を持ち、お目出度い場で使われるのは、それだけスズランが愛されているということです。ところが、スズランの花や葉、根などには、コンバラトキシンなどの強い有毒物質があります。摂取すると悪寒、吐き気、けいれん、血圧低下などの中毒症状が起こります。スズランを活けていた花瓶の水を誤って飲んだり、赤い実=写真=をベリーと間違えて食べたりして死亡したケースも報告されています。毒性は、青酸カリの何と15倍も強いと言われています。

それでも人気に変わりはない

 「あの清楚な花が猛毒を持っているなんて…」とびっくりしますが、花にしてみれば、棘や毒を持つのは自らを守る術の一つに過ぎません。毒を持っているからと言っても、スズランが可愛らしく、人気のある花であることに変わりはありません。

 札幌市や奈良県宇陀市、広島県世羅町などは自治体の花に指定しています。神戸電鉄の「鈴蘭台駅」(神戸市北区)は、昭和初期に「関西の軽井沢」を目指して開発された際に公募で決められた駅名です。

藤村も愛でた、幸福の帰来を意味する花

 島崎藤村は「千曲川のスケッチ」の中で、スズランが一面に咲く信州の岡を描写し「谷の百合は一名を君影草とも言って、『幸福の帰来』を意味する」と書いています。ロマン主義の詩人も愛でたスズランの花言葉は「幸せが再び訪れる」。毎年、人々が待ち焦がれる春の訪れを、スズランが象徴していることに由来します。
 新型コロナウィルスのワクチン接種が始まりました。スズランの花言葉に託して、パンデミックが収まり《穏やかに暮らせる》幸せが再び訪れますように…。

※参考図書
「聖人と花」(著者:グラディス・テイラー、訳者:栗山節子、発行所:八坂書房)
「NHK趣味の園芸 山野草〈春〉」(著者:小山征男、NHK出版)
「千曲川のスケッチ」(著者:島崎藤村、発行所:岩波書店)
「毒草の誘惑」(著者:植松黎、発行所:講談社)
「神戸の町名 改訂版」(神戸新聞総合出版センター)
※参考サイト
「Mayonez スズランの花言葉」
「うたまっぷ 君影草」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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