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花コラム

花コラム 第46回:ユリ~ウイルスに負けない花

プレミアムフラワーの花コラム

2021.6.1

第46回:ユリ~ウイルスに負けない花

 春から夏にかけては、数多くの花を楽しめる季節です。中でもユリ(百合)に親しみを覚える方は多いでしょう。しなやかに伸びた茎の先で、花びらを反り返らせて、うつむき加減に咲く漏斗状の花は、独特の清楚な佇まいをしています。

 『たてば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』のことわざにあるように、美人に例えられることも多く、百合、小百合、百合子などは人気のある女性の名前です。

園芸種は1万5千種以上も

 ユリはユリ科ユリ属の多年草の総称です。原種は115種、さらに赤、白、ピンク、オレンジなどさまざまな色や形の品種が作られ、今では園芸種は1万5千種を超えます。庭植え、鉢植え、切り花で鑑賞するだけでなく、野山に行けば野生のユリも楽しめます。

聖母マリアの象徴の花

 ユリはヨーロッパでの栽培の歴史が最も古い植物の一つで、ギリシャ神話や聖書に度々、登場します。聖母マリアの葬儀の3日後に墓を訪れると、中が空になっており、ユリとバラの花だけが残っていたーというキリスト教の伝説があります。ユリは聖母マリアの象徴の花とされ、「純潔」「無垢」「威厳」などの花言葉が生まれ、「純潔の花」として儀式などで使われてきました=写真はアウグスト・ピション作「受胎告知」(聖母マリアにユリを贈り、受胎告知する大天使ガブリエル)1859年=。

古事記や万葉集でも

 日本では、古事記(712年)に「山由理草(やまゆりそう)」の記述があり、万葉集(奈良時代末期)にはユリを詠んだ10首の歌が載っています。

 『夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ(坂上郎女))』(夏の野にひっそりと咲いているヒメユリのように、相手に知ってもらえない恋は苦しい)。ヨーロッパでも日本でも、ユリには女性のイメージが重なります。

球根の99%にウイルスが

 美しく、清潔感にあふれる花ですが、ユリには大敵があります。物の本によると、ユリの球根の多くはウイルスに汚染されている、野生ユリの球根は何と99%にウイルスが寄生しているというのです。人は…いいえ花は見かけによらないものです。

 ウイルスによって、モザイク病や急性落葉病などが発症することがあります。野に自生していたヤマユリを持ち帰って庭に植えたら、1、2年で枯れてしまったという話を聞きますが、そのほとんどがウイルスによるものです。

ウイルスに負けない株を

 しかし、ウイルスが寄生しているからといっても、必ずしも発症するとは限りません。山梨県から「農の匠」に選ばれたヤマユリ研究家の小股虎雄氏によると、栽培の環境を整え、しっかりした株に育てさえすれば、ウイルスに負けないユリになります。

 具体的には、ウイルスを感染させるアブラムシをきれいに駆除する。モザイク病が発生しやすい多湿を避け、風通しを良くする。ユリは乾燥にも弱いので、強い日差しは避け、半日陰の環境で育てる。病気予防のため、こまめに農薬を散布する…。要は、注意深く見守り、丁寧に手入れすることです。

生まれながらに病気を持つ

 小俣氏は「私は『すべてのヤマユリは、生まれながらに病気を持っている』という気持ちで栽培している。株が充実している間は発病を抑えているが、樹勢が落ちると一気に発病してくるようにみえるからだ」と記しています。

ウィズ(with)コロナの時代も

 コロナウィルスを撲滅するのは困難であることを前提に、新たな戦略や経済・生活様式を考える「ウィズ(with)コロナ」の時代がやってきたと言われています。私たち一人ひとりが注意深く予防し、丁寧に対策をとる。ユリの栽培と相通じるところがあるようです。

※参考図書
「ヤマユリ 球根の増殖と花の楽しみ方、自生地復元」(編著者:小股虎雄、発行:農山漁村文化協会)
「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 ユリ」(著者:肥土邦彦、出版社:日本放送出版協会)

※参考サイト
「食用ユリのウイルス対策とウイルスフリー化事業による防除対策 日本植物防疫協会」
「ユリのウイルス病対策‐ユリ.Net」
「ユリ(園芸種)Lilium sp.」

アウグスト・ピションAuguste Pichon1805-1900 作「受胎告知」1859
受胎告知で登場する大天使ガブリエルが聖母マリアにプレゼントとして渡したのが白い百合の花

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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