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花コラム

花コラム 第34回:友と語り合える日~百日草

プレミアムフラワーの花コラム

2020.6.1

第34回:友と語り合える日~百日草

 緊急事態宣言が解除され、街は徐々に活気を取り戻してきました。しかし、新型コロナウィルスがなくなった訳でも、感染症対策に有効なワクチンが実用化された訳でもありません。ここで油断すると感染症は再流行するかもしれないので、どこまで以前の生活に戻っていいのかは悩ましいところです。

「不在の友を思う」花が店先に

 「STAY HOME」の生活が続きました。久しぶりに友人と会い、あれこれと語り合いたいとは思いますが、今はまだ連絡を取れていません。折しも花屋さんの店先には「不在の友を思う」が花言葉の百日草(学名ジニア)が並び始めました。

100日よりもっと長く咲く花

 百日草はキク科ヒャクニチソウ(ジニア)属の一年生の草本です。5月の終わりから10月頃にかけて、赤、ピンク、オレンジ、黄、白など色とりどりの直径3~15?の花をつけます。開花期間が長いことにちなんで百日草の名前が付けられましたが、実際には100日よりもっと長く咲きます。ウラシマソウ(浦島草)やチョウキュウソウ(長久草)と呼ばれるのも頷けます。
 ガーデニングの格好の素材ですが、切り花にしても花持ちが良いことから仏花としても重宝がられています。

時の経過とともに…

 時の経過とともに、会えない人への思いは強くなっていきます。期間が長いとついつい気が緩むこともあります。そこで、「不在の友を思う」と「注意を怠るな」の花言葉が生まれました。

しり取りのような『アリスンの百日草』

 百日草をテーマにした本はないかと探してみたら、しり取りのような面白い構成の絵本がありました。『アリスンの百日草(Alison's Zinnia)』。ポーランドで生まれ、ナチスの迫害に遭い、後に渡米して、絵本作家、挿絵画家として活躍しているアニタ・ローベル(1934~)の作品です。
 ところが、この絵本は最寄りの図書館の蔵書リストにありません。発行元の『らんか社』に問い合わせると「絶版の書籍です。在庫はなく、重版の予定もありません」というメールが返ってきました。入手が難しいと分かると、なおさら読みたくなり、ネットで探すと中古本が見つかりました。

女の子と花と動詞がアルファベット順で登場

 様々な形、色の花が表紙からはみ出しそうな勢いで、生き生きと描かれています。最初のページを開くと、大きなアマリリスの絵の下に『Alison acquired an Amaryllis for Beryl.(アリスンはベリルのためにアマリリスを手に入れました。)』の説明。女の子と花の名前、そして動詞のイニシャルは「A」で統一されています。
 2ページ目はベゴニアの絵の下に『Beryl bought a Begonia for Crystal.(ベリルはクリスタルのためにベゴニアを買いました。)』。次はイニシャルが「B」で統一されています。このように、女の子がアルファベット順に登場し、次の子のために花を見つけたり買ったり、花に霧を吹きかけたり水をやったりしていきます。

優しさと思いやりのバトンリレー

 最後のページは、百日草の絵の下に『Zena zeroed in on a Zinnia for Alison』。アルファベットの最後がイニシャルのジーナが、最初のアリスンのためにZinnia(百日草)を選んだところで終わります。アリスンはベリルのためにベゴニアを手に入れましたが、回りまわってアリスンもジーナから百日草を贈られることになります。

幼い日の原体験

 子供たちが優しさ、思いやりを、花をバトンにして次々とリレーしていくという素敵なお話でした。この絵本には、幼い日にナチスに追われて身を潜めて生活した作者ローベルの原体験が反映されているのでしょう。息が詰まるような生活の中ででも、人々が助け合って生きる姿を、彼女は目の当たりにしたのに違いありません。

支え、支えられて生きている

 ひるがえって今、私たちはコロナ禍の中で息をひそめるようにして毎日を送っています。巣ごもりの生活が長くなると、人との関係が希薄になり、一人っきりで生きているような錯覚さえしてきます。この絵本は「どんな時も、人は一人で生きているのではない。支え、支えられて生きている」と訴えているような気がしてなりません。

百日草が盛りを迎えるとともに……

 百日草は暑さに強く、夏の日差しの中でも元気いっぱいに咲きます。一方、ウィルスは一般的には高温多湿の季節は不活性化すると言われています。百日草が盛りを迎えるとともに感染症の流行が収まり、友人と心置きなく語り合えるようになればいいのですが……。

※参考図書
「みんなの趣味の園芸」(NHK出版)
「アリスンの百日草」(作・絵:アニタ・ローベル、訳:青木久子、出版:らんか社)
※参考サイト
「いわさきちひろ記念事業団 アニタ・ローベル」
「絵本のノート アリソンの百日草」
「花言葉―由来」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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