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花コラム

花コラム 第31回:「菜」の字に込められた親心~「菜の花の沖」から

プレミアムフラワーの花コラム

2020.3.1

第31回:「菜」の字に込められた親心~「菜の花の沖」から

 若菜、玲菜、唯菜、真菜、弘菜、晏菜…。アイドルグループ「AKB48」や「NMB48」のメンバーの名前には「菜」の字がズラリと並びます。女の子の名前ランキングでも毎年、「結菜」や「陽菜」などが上位にランクインしています。ひと昔前は女の子には「子」を付けるのが多かったのですが、今では「菜」が取って代わったようです。

名前に付けたくなる訳は

 一面を黄色く染める菜の花は明るく、温かい花姿で、春の香りを運んできます。花言葉も花のイメージそのままに「快活」「活発」「明るさ」。黄金色ということから「財産」という花言葉もあります。我が子の名前に「菜」を付けたくなるも、頷けます。

良いことづくし

 菜の花は一つの花の名前ではなく、アブラナ科アブラナ属の花の総称です。2月から5月にかけて花が咲きますが、見頃は3月以降。これからです。鑑賞用の他に、菜種油の原料となるナタネや食用のナバナなどがあります。
 葉酸は動脈硬化や認知症のリスクを減らす健康長寿のビタミンと言われています。その葉酸が野菜の中では断然多いのが菜の花です。眺めてよし、食べてよし。菜の花は良いことづくしの植物です。

司馬遼の名作で描かれた菜の花は

 司馬遼太郎の長編小説「菜の花の沖」は、明治時代に淡路島(兵庫県)都志の貧農の家に生まれた嘉兵衛=写真は函館市・護国神社坂の高田屋嘉兵衛像=がやがて北前船の船長となって蝦夷地(現在の北海道、樺太、千島列島)の漁場を開拓し、日本とロシアの橋渡し役になった波乱の人生を描いたものです。小説のタイトルは、淡路島が菜の花の名所であることに因みます。


 嘉兵衛は晩年、都志に戻り、菜の花に囲まれた屋敷に住みます。村人から「嘉兵衛さん、蝦夷地で何をしたのぞ」と聞かれ、「この菜の花だ」と次のように語ります=写真は淡路島・花さじき=。
 「菜の花はむかしのように村の自給自足のために植えられているのではなく、実を結べば六甲山麓の多くの細流の水で水車を動かしている搾油業者の手に売られ、そこで油になって、諸国に船で運ばれる。たとえば遠くエトロフ島の番小屋で夜なべ仕事の網繕いの手もとをも照らしている。その網でとれた魚が、肥料になって、この都志の畑に戻ってくる。わしはそういう廻り舞台の下の奈落にいたのだ」

菜の花は人々の生活を支える

 菜の花は自給自足の狭い村にとどまらず、形を変えて様々な場で人々の生活を支えてくれる。菜の花は分業や交換によって成り立つ商品経済の象徴として描かれています。
 「菜」の付く命名には、我が子が明るく、可愛いらしく、幸せになるようにという願いだけでなく、世の中の役に立つ人に育ってほしいという願いも込められているのでしょう。

※高田屋嘉兵衛像は「函館市公式観光情報はこぶら」のサイトから転載
※参考図書
「菜の花の沖 六」(著者:司馬遼太郎、発行所:文芸春秋)
「司馬遼太郎がゆく」(発行:プレジデント社)の第七章「司馬遼太郎を旅する」「『菜の花の沖』函館に嘉兵衛の開拓魂を求めて」の項(著者:吉岡忍)
「女子栄養大学の100歳までボケない健康レシピ」(監修:香川靖雄、発行:世界文化社)
※参考サイト
「NMB48」「AKB48」の公式サイト
「名前ランキング‐明治安田生命」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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