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花コラム

花コラム 第55回:山吹~光源氏と「お主も悪よのう」

プレミアムフラワーの花コラム

2022.03.1

第55回:山吹~光源氏と「お主も悪よのう」

 野や山に色とりどりの花が咲く季節がやってきました。柔らかい赤は桃色、薄い紫みの赤は桜色、鮮やかな赤は薔薇(ばら)色、鮮やかな黄は蒲公英(たんぽぽ)色、明るい青は勿忘草(わすれな)色……。花の名前がついた色は色々とあります。古来、花は人々の生活に彩りを添え続けてきました。

身近な花と馴染みのある色

 バラ科ヤマブキ属の山吹(やまぶき)は、春から初夏にかけて花をたわわにつけ、春の季語にもなっています。日本原産で、沖縄を除く日本各地の低い山や丘陵地で群生しており、日本人には身近な花です。
 その花の色は、黄金のような鮮やかな黄色い山吹色。クレヨンや絵の具の色にもなっているので、子供の頃から馴染みのある色です。

光源氏が見初めた女子の服は

 山吹は数多くの和歌集や物語に登場します。源氏物語の「若紫巻」では、光源氏が後に妻となる紫の上を見初めた時の様子を次のように綴っています=写真は「源氏物語団扇画帖」第五帖・若紫巻の場面=。
 『白き布、山吹などのなえたる着て、走り来たる女子(おんなご)、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えてうつくしげなる容貌(かたち)なり。』
 (白い下着に山吹か何かの着ならしたものを着て、走ってきたのは、大勢見えた他の子供とは似ても似つかないくらい、これから美しくなる容貌をしている。)

山吹色は美しさを際立たせる

 大勢いる子供の中で、光源氏の目に真っ先に入ったのは山吹色の衣でした。そして、その衣を着ている女子はこのうえなく可愛かった。まさに、山吹色は紫の上の美しさを際立たせる色だったのです。

「お主も悪よのう」

 山吹は風流という言葉がしっくりくる花ですが、意外なところでも山吹が使われていました。「山吹色の菓子」です。
 ピクシブ百科事典によると「時代劇に出てくる悪代官の大好物で、主に桐の箱詰めにされ、アコギな商売をしている連中から贈られるらしい」とあります。
 箱の中身はお菓子ではなく、山吹色の小判。悪代官は「お主も悪よのう」と含み笑いをしながら、悪徳商人から箱詰めを受け取り、商人は「いえいえ、お代官様ほどでは」と返す…。時代劇で見たことのあるようなシーンが思い浮かびます。どういう訳か、悪徳商人は「越後屋」と呼ばれることが多いようです。

ゴマすり用の腹黒いお菓子

 「山吹色のお菓子」という名前のパロディのようなお菓子もありました。菓子箱の中に詰まった小判の束の中身は胡麻クリームの入ったダックワーズ。埼玉県朝霞市の製菓会社セントラル・スコープが11年前から「ゴマスリ用の腹黒いお菓子」と銘打って発売しています=写真は同社のサイトから=。

金品授受のビッグウェーブ?

 2019年秋、このお菓子に全国から注文が殺到し、同社のサイトに「ごめんなさい…売り切れちゃいました 理由はお分かりいただいてますよね どこかの誰かが 本物使っちゃったからですね…」というお断り=写真は同社のサイトから=が掲載されました。理由というのは、この年の9月に関西電力の役員らと原発の地元の町の元助役らとの長年にわたる癒着が発覚したことです。

悪代官と悪徳商人のやりとりを連想

 関西電力側は原発に関する工事情報などを公表前に元助役に知らせ、元助役の関係した会社に請け負わせるなどし、役員ら83人が元助役から約3億7千万円の金品を受領していました。このことが悪代官と悪徳商人のやりとりを連想させ、「山吹色のお菓子」の売り上げ増につながったのでしょう。

山吹色は時を越えて人の目をくらます

 役員らが受け取った金品の中には現金や洋服仕立券などの他に、まさしく山吹色に輝く金貨もありました。光源氏の目をくらませて恋路へと誘った山吹色は、千年経った現代、およそ風流とはかけ離れた場面で、元役員らの目をくらませて人の道から外れさせることになりました。

※参考図書
「源氏物語全現代語訳(二)今泉忠義」(発行所:講談社)
「日本の伝統色100 太陽の朱 空の藍 光の山吹」(著者:吉岡幸雄、発行所:紫紅社)

※参考サイト
「みんなの趣味の園芸 ヤマブキ(NHK出版)
「伝統色のいろは」
「色彩図鑑 花の色一覧」
「ピクシブ百科事典」
「山吹色のお菓子」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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