花コラム
花コラム 第11回:ハスは神秘的、不思議な花~咲く時に音がするって本当?
2018.7.2 第11回:ハスは神秘的、不思議な花~咲く時に音がするって本当?
7月の誕生花・ハス(蓮)の花が咲き始めました。ハスの地下茎のレンコン(蓮根)は揚げても炒めても美味しい身近な食材ですが、花は清らかな神聖な植物とされています。
池の底の泥の中に根を張り、茎を伸ばして水面に美しい花を咲かせる姿は「蓮は泥より出でて泥に染まらず」(中国の成句)と言われ、人間社会の中で悟りを求める菩薩道にたとえられました。如来や菩薩は、蓮の花の形をした蓮華座の上に座っています。香炉などの仏具やお供えの砂糖菓子は蓮の形をしています。お寺の庭の池に植えられていることが多いのは、仏教との関りが深い花だからでしょう。
ハスは神秘的、不思議な花です。葉っぱの上で水滴は生き物のように動き回り、花は早朝に咲いて昼前には閉じるということを繰り返し、3、4日後には命を終えます。
ハスの研究で有名な植物学者・大賀一郎氏が著した「ハスと共に六十年」(1965年、アポロン社刊)によると、東京・上野の不忍池では1935年から毎年のように観蓮会が開かれました。参加者全員が耳を澄ましましたが、音は聞こえず、『報道陣に対してハスの開花の無音無声の衆議を発表したところが、誠に、実に、天下の大問題となり、国の内外が喧々囂々(けんけんごうごう)、投書が東西各新聞の社会欄をにぎわした』とあります。今で言うなら、「音がするかしないか?」がテレビのワイドショーで連日、大きな話題になったというところでしょうか。
そして、大賀氏は『この後、年と共に騒ぎは漸次に下火となり、世は無音無声に傾くようになった』と記しています。その後も、「花の咲く音を聞いた人がいるらしい」と言う人はいても、「私は聞いた」「録音した」と言う人は現れません。子規も、音を聞こうとする人のことを詠っていますが、実際に聞いたかどうかには触れていません。どうやら、「音がする」というのは俗説だったようです。
それでも、水面にポッカリと浮かぶハスを見ていると、いかにも花びらが音を立てて開いたように思えてきます。これが、ハスの持つ神秘性なのでしょう。 ※他の参考図書プレミアムフラワーの花コラム
仏教と深い関り
咲く時にポンという音がする!?
不思議と言えば。昔からハスは花が咲くときに「ポン」という音がすると言われています。正岡子規も『蓮開く 音聞く人か 朝まだき』と詠んでいますが、本当に音はするのでしょうか? 同じ疑問を持つ人は多いようです。古くから、ハスを鑑賞する観蓮会(かんれんえ)は全国各地で開かれ、何人もの人が音を聞こうと試みてきました。
音がするかしないかが、天下の大問題に
実際に音を聞いた人は?
観蓮会にはICレコーダー
来週末に隣りの町の公園で、観蓮会が開かれます。花が咲く時間に合わせて午前6時に集合ということですが、頑張って早起きして参加しようと思っています。念のため、ICレコーダーを持って行くつもりです。
「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか」(稲垣栄洋著、2015年、幻冬舎刊)
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