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花コラム

花コラム 第9回:「お花さんは人に見てもらうと喜ぶ」~門外不出の芍薬で

プレミアムフラワーの花コラム

2018.5.1

第9回:「お花さんは人に見てもらうと喜ぶ」~門外不出の芍薬で

 長い記者生活で取材した方々の言葉は新鮮で、今なお胸に残るものが数多くあります。その一つが「お花さんは人に見てもらうと喜びます」。花を「さん」付けで呼び、花の気持ちを推し量る。そこには、花を愛おしんで育てる人ならではの思いが込められていました。

肥後シャクヤクが満開の部屋で

 「花と生きる」という連載企画の取材で、熊本市・城南町の渡辺李枝子さんのお宅をお邪魔しました。20数年も前のことです。当時、73歳の渡辺さんは端正な顔立ち、やさしさが滲み出るような語り口で、肥後シャクヤク(芍薬)が満開の庭=写真左=に面した部屋で家伝の花について語ってくださいました。

立てば芍薬……

 シャクヤクは、5月から6月にかけて咲くボタン科の多年草です。美人を形容する言葉「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」で、シャクヤクが立ち姿になっているのは、美しさだけでなく、50~70cmという草丈にもよるのでしょう。

門外不出の掟

 肥後シャクヤクは中国から伝来した品種を改良したもので、紅、白、ピンクなどはっきりした色合いの、直径30cm以上もある大輪を咲かせます。200数十年前から細川藩の花蓮(はなれん)と呼ばれる清廉の士が、門外不出を掟に作ってきたことから、熊本県人でも殆ど目にすることのない花でした。

限られた人だけが鑑賞する時代は過ぎた

 渡辺さんは、嫁ぎ先でその家伝の花の栽培を引き継ぎました。葉や茎の付け根から出るわき芽を摘み取る芽かき、1本の茎からつぼみが1つだけになるよう他のつぼみを摘み取る摘蕾(てきらい)……。肥後シャクヤクは手入れを怠ると、小さな花しかつけません。渡辺さんは精魂込めて世話をし続けました。そして、「もう、花ば限られた人だけが鑑賞する時代ではなか」と考え、庭を開放して一人でも多くの人に見てもらうことにしました。

花を見る目が変わった

 インタビューが終わると、渡辺さんは庭の花に目をやり、つぶやきました。
 「お花さんは人に見てもらうと喜びます。せっかく咲いても、見てもらえなかったら可哀想。田舎に嫁いできて、寂しかと思い続けてきましたが、お花さんが人を呼んできてくれ、にぎやかになりました」。花に家族同様の愛情を注いできた渡辺さんならではの言葉といえるでしょう。
 花が美しい色や形をしているのは、昆虫を呼び寄せて、受粉の手伝いをしてもらうため。そうとしか思っていなかった私は、この言葉を聞いてから「日々の暮らしの中で、花との出会いを大切にし、もっと花と向き合おう」と考え、花を見る目が変わりました。

お花さんが喜ぶ季節

 かつては門外不出だった肥後シャクヤクは、今では東京・文京区の「肥後細川庭園」=写真右=や東大阪市の「久宝寺緑地」などで見ることが出来ます。シャクヤクの名所としては、北海道中富良野町の「ファーム富田」、栃木・足利市の「足利フラワーパーク」、東京・足立区の「西新井大師」、神奈川県鎌倉市の「県立フラワーセンター大船植物園」、大阪市東住吉区の「市立長居植物園」などが有名です。
 シャクヤクは、まさにこれからが見頃です。今年も花の名所には大勢の人が鑑賞に訪れ、「お花さん」は喜ぶことでしょう。

※渡辺さんの庭の肥後シャクヤク以外の写真は、肥後細川庭園のホームページから転載させていただきました。

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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