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花コラム

花コラム 第42回:沈丁花の希望の香り

プレミアムフラワーの花コラム

2021.2.1

第42回:沈丁花の希望の香り

 穏やかな日もあるものの、まだまだ冷え込む日が続きます。この冬は寒さにパンデミックも加わり、ことさら厳しい季節になりました。あと何日耐えれば、暖かくなるだろうか?いつになったら、感染症は収束するだろうか?指折り数えるようにして、踏ん張る毎日です。

マスク越しでも匂う花

 去年の2月は3日に横浜港に接岸したクルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」で新型コロナ感染症がまん延し、日本を震撼させました。今にして思えば、パンデミックの序章に過ぎなかった訳ですが、この頃からマスクをする人が急激に増えました。
 クルーズ船の乗客全員が下船した後ですから、2月も下旬になっていたでしょう。マスクをして公園を歩いていると、どこからとなく甘くて爽やかな香りがして、見回してみると沈丁花(じんちょうげ)が咲いていました。「この花はマスク越しでも匂うんだ」と驚いた記憶があります。

三大香木は香りで居場所が分かる

 春は沈丁花、夏はクチナシ=写真左側=、そして秋はキンモクセイ=写真右側=。香りの強い花をつける、この3株は三大香木と言われています。いずれも、街路樹や公園樹、庭木などとして時折り見かけますが、花よりも先に香りで居場所が分かります。茶席では、沈丁花は強い香りがお香の邪魔をすることから、禁花とされています。

室町時代の文献に「沈丁華」

 ジンチョウゲ科の沈丁花は高さ1mほどの常緑の低木で、2月から4月にかけて枝先に白や赤、桃色の小さな花を塊になってつけます。
 原産地は中国。一条兼良が年中行事や各種事物について記した『尺素往来(せきそおうらい)』(1489年)に「沈丁華」の記載があります。これが文献での初出であることから、室町時代には日本でも栽培されていたことになります。

沈香のような芳香と丁子に似た花

 同じジンチョウゲ科の香木「沈香(じんこう)」=写真左側=のような芳香があり、フトモモ科の「丁子(ちょうじ、クローブ)」=写真右側=に似た花をつけることから、それぞれの一字をとって「沈丁華」と名付けられました。その後、「華」は実物の植物を表す意味の「花」の表記に変わっていったと思われます。

日本の沈丁花の大半は雄株

 沈丁花はイチョウやキンモクセイと同じように、雌花が咲く雌株と雄花が咲く雄株が分かれている雌雄異株(しゆういしゅ)です。昆虫などが花粉を運んで受粉しますが、日本にある沈丁花の大半は雄株なので、実をつけず、挿し木で増やします。

感染症との戦いを励ます花言葉

 花言葉は、一年を通じて緑の葉をつけることにちなんで「不死」「不滅」「永遠」。感染症との戦いには、励みになる言葉です。
 この他、芳香のイメージから「歓楽」「甘美な思い出」「誘惑」などの花言葉も生まれました。

春と感染症の収束を予感させる香り

 去年に沈丁花に出会った公園を再び訪れました。沈丁花はツボミ=写真=をつけていましたが、まだ香りはなく、開花にはもう少し時間がかかりそうです。
〈明日咲くと思はせ振りの沈丁花〉(楯野正雄)
 沈丁花の香りが漂うようになれば、もう春はすぐそこ。今年は新しい季節だけでなく、感染症の収束も予感させる、希望の香りであってほしいものです。

※参考図書
「沈丁花」(著者:後藤たづる、発行所:日本随筆家協会)
※参考サイト
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「くすりの博物館 薬草に親しむ」
「国立国会図書館サーチ 尺素往来」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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