花コラム
花コラム 第51回:「金のなる木」はないからね
2021.11.1 第51回:「金のなる木」はないからね 子供の頃に親に何かをねだると、「金のなる木はないからね」とよく言われたものです。「金のなる木」って本当にあるのかな?お札が葉っぱになっているのかな?もぎ取ったら、また新しいお札がはえてくるのかな?子供心に妄想を膨らませたものです。 「金のなる木」はベンケイソウ科クラッスラ属の常緑低木。正式名はクラッスラ、園芸名はカゲツ(花月)、和名はフチベニベンケイ(縁紅弁慶)です。11月から年明けにかけて、白や桃色の直径1cm強の小さな可愛らしい花を多数つけます。 原産地は南アフリカで、昭和初期に日本に渡来しました。英名は「money tree(お金の木)」「dollar plant(ドルの植物)」。丸くて分厚い葉がコインに似ていることに由来します。この英名にあやかって、園芸農家が若枝に五円玉を通して育て、硬貨が実ったように見せかけて販売しました。これが人気になり、「金のなる木」「成金草」と呼ばれるようになったそうです。 「金のなる木」は本当にありましたが、本当のお金がなる訳ではありませんでした。いわば観葉植物の縁起物といったところでしょうか。花言葉は「一攫千金」「富」「幸運を招く」。風水では、丸みを帯びた植物は金運があると言われており、開業や新築祝いなどの贈り物にされることもあります。 民話の吉四六(きっちょむ)話に、「金のなる木」が出てきます。 吉四六さんが町の人をだまして、お金をせしめたという話ですが、お金を稼ぐ本質を突いているではありませんか。楽をしてお金を稼げるなんて、虫のいい話はない。早起きして、一生懸命にコツコツと働くのが一番。昔も今も、お金を稼ぐ王道に変わりはないということです。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
それから随分経ってから、本当に「金のなる木」があることを知りました。小さな可愛い花をつける
五円玉がなる木
観葉植物の縁起物
吉四六さんが売った金のなる木は?
《吉四六さんは金もうけをしようと、町に行って「金のなる木はいりませんか」とふれまわりました。町の人は「そんな木があるなら、庭に植えて金をザクザクならせよう」と思い、吉四六さんを呼び止めました。
吉四六さんが「7本70文にまけておくから、一緒に買え」というので、町の人が70文を払いました。吉四六さんはお金を懐にいれてから、もったいぶって言いました。
「朝は早起き(木)ほら1本。たすき(木)がけ、そら2本。後ろ鉢巻き(木)ほら3本。手に唾(つば)き(木)。あと3本は、人に負けぎ(木)で根気(木)よく働き(木)だ。ほら、安いもんだろう」。》お金を稼ぐ王道は今も昔も
今にして思うと、親が私に何度も「金のなる木はないからね」と言ったのは、「地道に働く大人になりなさい」という諭しの言葉だったのでしょうか。◇
「おなかがよじれる古典笑噺傑作選5巻 よくばりわるものの笑噺」(監修:川村たかし、発行所:教育画劇)
※参考サイト
「本当にあった!?観葉植物『金のなる木』で幸運を呼び込もう!」
「Plantia 初心者向けの草花を調べる」
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