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プレミアムフラワーの花コラム

第108回:サギソウ~今にも飛び立ちそうな花

2026.9.1

 花には実に様々な形があります。中には「どうして、こんな形になったのだろう?」と驚くような花姿もあります。
 サギソウ(鷺草)=写真右側=を見た時も驚きました。白鷺=写真左側=が翼を広げたような形をしています。自然が作った“造形の妙”とでも言うのでしょうか。

たとえは欧米でも同じ

 サギソウはラン科サギソウ属の多年草で、7月から8月にかけて開花します。純白の花は三つに分かれ、両端の花びらは羽のように細かく裂けて広がっています。
 花の名前は形が似ている動物に由来することがあります。キンギョソウ(金魚草)=写真左側=やケイトウ(鶏頭)=写真右側=などがそうですが、似ているということではサギソウは負けていません。欧米でも「White Egret Orchid」(白鷺蘭)と呼ばれています。

無垢、繊細、清純、あなたを想う

 花言葉は「無垢」「繊細」「清純」。誰もがサギソウを見て、連想する言葉です。
 「夢でもあなたを想う」という言葉もあります。室町時代に世田谷城主・吉良頼康の妻・常盤姫は無実の罪で追放されました。自らの潔白を証明するため、飼っていた白鷺に遺書を結びつけて飛ばしましたが、白鷺は狩りをしていた頼康に射落とされてしまいました。その白鷺が落ちた所にサギソウが咲いた―と言い伝えられています。常盤姫の切ない想いが花言葉になりました。

絶滅のおそれ

 サギソウの原産地は日本と朝鮮半島で、日当たりの良い湿地に自生します。開発でサギソウが育つ環境が減る一方、掘り起こして持ち帰る人が後を絶たないことから、個体数は減少。環境省は絶滅のおそれのある野生生物を一覧にしたレッドリストでサギソウを準絶滅危惧種に指定しています。
 そんな希少なサギソウの観察会が8月下旬に「宝塚自然の家」(兵庫県宝塚市)で開かれました。

花が見当たらない

 宝塚の自然を守る活動をしているボランティアグループ「宝塚エコネット」の案内で自生地の「松尾湿原」(広さ約260㎡)に行きました。
 「ご覧ください。サギソウが咲いています」というアナウンスがありましたが、参加者は一瞬、「あれっ?」と戸惑った顔をしています。一面、草が生い茂った湿原を見渡しても、花は見当たりません。目を凝らして見ると、所どころに白い斑点のようなものがあります。顔を近づけて見ると、それがサギソウでした。

思いのほか小さい

 サギソウを写真で見た時は、そこそこの大きさの花だと思い込んでいましたが、その写真は花を接写して、大きく拡大したものだったのです。目にした花は思いのほか小さく、直径は2cmほどしかありません。上から見ると、紙切り細工で白い紙を白鷺の形に丁寧に切り取ったように見えます。今にも小さな白鷺が一斉に羽ばたいて飛び立っていくようです。

サギソウの生きる手立て

 花を横から見ると、花の下から長さ3、4㎝ほどの距(きょ)と呼ばれる細長い筒のようなものが伸びています。真夜中に距に貯まった蜜をスズメガが吸いに来ることで、花粉交配されるそうです。小さな花に不釣り合いなほど長い距。さらには、夜でも目立つ純白の花びら。絶滅に瀕したサギソウが生き延びる手立てなのでしょう。

人を騙すサギには気を付けて

 観察会の参加者の大半は年配者でした。振り込め詐欺の被害者に多いと言われる世代です。会の最後は主催者の次の言葉で締めくくられました。
 「今日は綺麗なサギソウを見ていただきましたが、皆さん、人を騙すサギ(詐欺)には気を付けてください」。

◇

※参考サイト
「宝塚自然の家」
「宝塚エコネット」
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「花言葉.net」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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