第99回:ルクリア~優しい、上品な、甘い香りを求めて 2025.12.1 冬の訪れとともに花は少なくなり、野山や街中の彩りが褪せていきます。この季節を待ちかねたように、ルクリアは桜色の花を咲かせます。 アカネ科ルクリア属のルクリアは常緑の低木で、11月から1月にかけてピンクや白の花十数個を房のようにまとまって咲かせます。花の名前は、原産国で「ルクリア・スワ」と呼ばれていたことに由来します。花言葉は「匂いたつ魅力」「優美な人」「清純な心」。 日本名に「匂い」が入っているように、中国名の「滇丁香」にも「香」の字が入っています。それほど香り高いということです。春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、秋のキンモクセイが三大香木と言われますが、これに冬のルクリアを加えて、4大香木と呼びたくなります。 この香りを自分の鼻で確かめてみたい。そこで、近郊の植物園に聞いてみましたが、ルクリアはありませんでした。最寄りの園芸店に片っ端から問い合わせると、ほとんどの店は「取り扱っていません」。中にはルクリアを知らない店員さんもいました。ただ一軒、入荷のあった店は「数が少ないので、すぐに売れてしまいました」ということでした。通信販売でなら入手できるかもしれませんが、ルクリアは流通量の少ない、希少な花だったのです。 日本には原産地のように夏は直射日光が余り差さず、風通しが良くて涼しく、冬は3度以下にならないような温かいところは、そうはありません。ルクリアの咲いているところは、生産化に成功した富士山麓の他には静岡県伊東市の神祇大社=写真=など数えるほどしかありません。神祇大社では、お正月頃に境内のルクリアが満開になり、参拝客を楽しませてくれるそうです。 伊東市は今、市長の学歴詐称問題で揺れ、注目を集めていますが、10万年前の噴火でできた美しい火口湖「一碧湖」=写真=など観光資源の豊かな地域です。一碧湖は伊豆の山々を蒼い湖面に映し出すことから”伊豆の瞳“と呼ばれています。ルクリアの香りを求めて、一度は訪れたいと思いました。
※参考サイト 元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper
in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。プレミアムフラワーの花コラム

和名は「アッサムニオイザクラ(匂い桜)」。アッサムは原産地のインドの地名。香りが高い、サクラのような花ということです。まるで春を先取りしたような花です。こんな花が身近にあれば、寒くてもホッコリした気持ちになれるのにと思ったのですが……。穏やかな気候のところで自生

自生地は、冬は寒過ぎず、夏は暑過ぎない穏やかな気候のところです。日本の気候は冬は寒くて夏は蒸し暑いので、ルクリアの生育には適していませんが、半世紀ほど前から山梨県の富士山の北麓で栽培されています。この地域が自生地に近い環境なのでしょう。一度嗅いだら忘れられない香り
では、どんな香りがするのでしょうか。本やサイトで調べると「一度嗅いだら忘れられないほど記憶に残る香り」「甘い芳香」「ユリの花に似た甘い香り」「上品な芳香」「優しい芳香」「強い芳香」など様々な言葉で表現されています。ルクリアが見つからない
日本では適地は少ない

ルクリアと”伊豆の瞳“のあるところ

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※神祇大社の写真は同大社のインスタグラムから、一碧湖の写真は「伊豆・伊東観光ガイド」から転載しました。
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福田徹(ふくだ とおる)
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。





















