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プレミアムフラワーの花コラム

第66回:パンジーが微笑んで見える世の中に

2023.2.1

 人の顔のように見える模様を持つ魚「人面魚」はブームになったことがあり、その存在はよく知られています。それでは、人の顔のように見える模様を持つ草花「人面草」はご存じでしょうか?
 私も最近になって知ったのですが、人面草はパンジーの異名だそうです。言われてみれば、パンジーは人の顔に似ています。花の少ない今の季節、花壇や庭を彩るパンジーは様々な表情で私たちを和ませてくれます。

遊蝶花、胡蝶草、三色スミレ

 パンジーはスミレ科スミレ属の一年草です。原産地はヨーロッパで、江戸時代末期に日本に渡来しました。姿かたちは蝶々のようにも見えます。当時は「遊蝶花」「胡蝶草」などと呼ばれていました。
 年配の方には「三色スミレ」の方が馴染みがあるかもしれません。以前は、ほとんどの花が黄、紫、白色の三色咲きだったことから、この名前が付けられました。

思索にふけるパンジー

 品種改良が進み、今ではパンジーは何百種にも増え、毎年のように新しい品種が誕生しています。咲き方は八重咲き、フリル咲きなどがあり、色合いも豊富になったことから「三色スミレ」の名前はふさわしくなくなり、代わりに英語名「pansy(パンジー)」の名前が定着しました。
 パンジーが少し前に傾いて咲く様子は、人が思索にふけるように見えます。そこで、フランス語の「考え・思考・思想」を意味する「Pensée (パンセ)」にちなんで、パンジーと名付けられたと言われています。

庭や家まわりがキラキラ輝く

 10月頃から出回り、上手に育てれば半年以上も開花するので、冬から春にかけての園芸には欠かせないアイテムになっています。園芸の本には、パンジーを植えると「庭や家まわりがキラキラ輝く」と書いてあります。

「私にキスをして」という名前の花

 花によって模様は異なり、表情は豊かです。アメリカのF・スコット・フィッツジェラルドの小説「the Great Gatsby(グレート・ギャッツビー)には「Kiss me at the garden gate(門のところで私にキスをして)」という名前の植物が出てきます。どの植物を意味するのかについては諸説がありますが、一説によるとパンジーの別名だそうです。
 どうしてパンジーの別名になったのでしょうか?これも一説ですが、パンジーの右側と左側の花びらがキスをしているように見えるからだといいます。

困ったような顔、悲しそうな顔

 性格を検査する方法にロールシャッハ・テスト=写真=があります。インクの染みを見て、何を想像するかで思考過程などを推定するというものです。パンジーの模様も、このテストに似ています。
 今の私の目には、パンジーはキスをしているようには映りません。むしろ、困ったような、悲しそうな顔をしたパンジーが多いように見えます。模様のない「のっぺらぼう」の花も、心なしか憂いを漂わせているとさえ感じます。

パンジーが微笑んで見える世の中に

 当初は2、3年で終息するだろうと言われたコロナ禍は、丸3年が過ぎて4年目に入りました。国際情勢は緊迫の度を高め、物価高は生活をむしばみ始めています。
 見る人の気持ちによって、同じ花からでも受ける印象は違ってきます。パンジーの表情は、私たちの心情を映し出していると言えるでしょう。
 誰の目にもパンジーが微笑んで見える世の中になるのは、いつのことでしょうか?

「奥峰子の わが家の花壇を美しく作るコツ」(著者:奥峰子、発行所:主婦の友社)
「花色を楽しむ パンジー・ビオラ250種 庭や家回りがキラキラ輝く」(監修者:大柿忠幸、平塚弘子、発行所:成美堂出版)
「趣味の園芸 パンジー&ビオラで元気になる!」(発行:NHK出版)

※参考サイト
「人面草(じんめんそう)」
「愉快な人面草」
「ヤサシイエンゲイ」
「ロールシャッハ・テスト」
「kiss-me-at-the-gateどんな花―英検一級をめざす英語」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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