第106回:花のような気持ちでいよう~八木重吉とあの人 2026.7.1 《きれいな気持ちでいよう 花のような気持ちでいよう 報いをもとめまい いちばんうつくしくなっていよう》 重吉は兵庫県の御影師範学校や千葉県の東葛飾中学校で英語教師をしながら、身近な世界や素朴な感情を呟くような短い言葉で紡ぎました。重吉の詩には花が繰り返し登場します。 重吉の詩には桜の他に、夾竹桃(きょうちくとう)や桃、山吹、竜舌蘭(りゅうぜつらん)=写真左から=などが出てきますが、多くは特定の花の名前は明示せず、花を純真な心の象徴として描いています。重吉が詩を詠んだのは1世紀前になりますが、詩人で彫刻家の高村光太郎(1883~1956)は「詩の技法がいかように変化する時が来ても生きて読む人の心を打つ」と評しています。それは、重吉の視線がどこまでも優しく、温かいからでしょう。 花はいつの世も人に寄り添い、慰め、励まし、人を優しくする不思議な力を持っています。そこでふと、あの人はどんな花に安らぎを感じているのだろうかと思い、調べてみました。世界中に迷惑と混乱をまき散らしている、アメリカのあのトランプ大統領です。 今、この人ほど発言や一挙手一投足が詳しく報じられている人はいません。ところが、いくら調べてみても、この人が花に興味・関心を持ったという話は見つかりません。今年5月にトランプ大統領が訪中し、習近平主席に北京の庭園を案内された際、庭の花をほめたと伝えられましたが、社交辞令に過ぎないでしょう。 その代わりという訳ではありませんが、トランプ大統領に関して圧倒的に多いのは金(ゴールド)にまつわる話でした。 アメリカの大統領と日本の詩人。比べるべくもありません。住んでいる世界、趣味嗜好の違いと言えばそれまでですが、余りにもの違いにため息が出てしまいます。
※参考図書 元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper
in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。プレミアムフラワーの花コラム

自然の美しさと人々の営みを短い詩に刻み、29年の短い生涯を駆け抜けた詩人・八木重吉(1898~1927)の代表作の一編です。ひとすじの気持ちで咲く

《花はなぜ美しいか ひとすじの気持ちで咲いているからだ》
《綺麗な桜の花をみていると そのひとすじの気持ちにうたれる》
《花がひらくようにおもわれる 花はひらきながら 私の悲しみをみつめてゐ(い)るようにおもわれる》
《花をみて うれしめば おごらず いらだたず わがあいするもの やがてきゆ われもまた じざいなり》
《おとなしくして居ると 花花が咲くのねって 桃子が言う》※桃子は重吉の長女時代を超えて心を打つ

花が持つ不思議な力
花のエピソードが見つからない
ちなみに歴代大統領について調べてみると、バイデン前大統領がホワイトハウスの広場でタンポポを摘んでジル夫人に贈ったなどと、花にまつわるエピソードは数多くありました。金ピカだらけ

「私はゴールドが好きだ」「ゴールドを作り出すのが得意だ」などと繰り返し発言。大統領に選ばれてホワイトハウスに入ったその日に、執務室の赤いカーテンや装飾品など全てを金色のものに取り換え、“ゴールドハウス”にしてしまいました。大統領が居を構えるトランプタワーは内外とも金ピカ。自分のゴルフ場に建てたトランプ像=写真=も金箔で覆われています。余りにもの違い
トランプ大統領は「地球温暖化はフェイクだ」と言って、世界的なCO2削減の枠組みであるパリ協定から離脱し、大量のCO2を排出して地球を破壊し続けています。この人なら地球の片隅に咲く花に関心がないのは当然かもしれません。◇
「定本 八木重吉詩集」(著者:八木重吉、発行所:彌生書房)
「八木重吉詩集」(著者:八木重吉、出版社:古典教養文庫)
「八木重吉のことば」(企画編集・著者:澤村修治、発行所:理論社)
「八木重吉詩集上巻、下巻」(著者:八木重吉、発行所:新文学書房)
※参考サイト
「旗・彫像・至る所に金」(2025・03・18 CNN)
「トランプタワーを歩いた 金色に輝く夢と政治の空間」(2016.11.20 朝日新聞)
「アメリカ大使館ポスト 2025.4.9」
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コラムライターのご紹介
福田徹(ふくだ とおる)
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。






















