花コラム
花コラム 第69回:レンゲソウ~手に取るな やはり野に置け
第68回:レンゲソウ~手に取るな やはり野に置け 2023.5.1 「手に取るな やはり野に置け」の俳句に続く花の名前は? Yahoo!知恵袋に「やはり野に置け月見草って、どういう意味ですか?」「やはり野に置けスミレソウといいますが…」などという質問が載っていましたが、正しくはレンゲソウ(蓮華草)です。案外、間違って覚えている方がいるようです。 マメ科ゲンゲ属のレンゲソウは、10~20cmの茎の先に6~10個の小さな赤紫色の花が集まって咲きます。花姿が蓮に似ていることから、蓮華草と呼ばれるようになりました。標準和名はゲンゲ。レンゲ、ゲンゲソウ、ノエンドウなどとも言われます。 レンゲソウは根に空気中の窒素を取り込んでおり、天然の窒素肥料として栽培されてきました。秋に刈り入れの終わった田んぼにレンゲソウの種がまかれ、それが翌春に一斉に花開いてレンゲ畑になります。花が散った後、田んぼを掘り起こす際にレンゲソウも一緒にすき込まれ、緑肥になるという訳です。 この俳句は「蓮華草は野に咲いていてこそ美しいのだから、摘み取らないのがよい。草木も人も本来あるべき所でそのまま愛でるのがよい」(コトバンク)という意味です。江戸時代の俳人・滝野瓢水(ひょうすい)が、遊女を身請けしようとした知人をいさめて詠んだと言われています。 花は切り花にされると、ただでさえ短い花の命はさらに短くなります。摘み取らないで野に咲いている姿を愛でるのがよいのは、全ての野花に当てはまることです。 ところが、レンゲソウは化学肥料が普及するにつれて次第に姿を消していきました。しかも、田んぼそのものもパン食の普及や5年前まで行われた減反政策などで少なくなりました。今でも一部の有機栽培の水田ではレンゲソウが栽培されていますが、他は野生化したものがあぜ道や草地などで自生しているだけになりました。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
※質問の文章の下線は筆者が引きました。首飾りや冠を作る材料に
長い茎を束ねたり編んだりして首飾りや冠を作るのは、子供たちの定番の草花遊びでした。「春の小川はさらさらいくよ 岸のすみれや れんげの花に」と童謡にも歌われ、身近な草花として親しまれてきました。この季節はレンゲ畑があちこちに
この季節、以前は田畑にさえ行けば、レンゲ畑を見ることが出来ました。明治時代の詩人・北村透谷は「野面(のおも)を見渡すかぎり美しきむしろを布きつめたる花の心はさていかに。」と書いています。遊女の身請けをいさめた句
今なら「遊女のあるべき所って何だ」と炎上するところですが、この時代の人権感覚では問題にならなかったのでしょう。どうしてレンゲソウなの?
では、どうして瓢水は数ある野花の中からレンゲソウを選んで俳句に詠みこんだのでしょうか? 確かなことは分かりませんが、それだけレンゲソウが身近にあったということではないでしょうか。レンゲ畑は懐かしい景色に
このコラムに写真を載せようと思い、レンゲ畑の残っていそうな所を訪ね回りました。なかなか見つからず、ようやく5か所目に訪れた大阪府箕面市石丸地区で冒頭と左の写真が撮れました。久しぶりに見る景色に、懐かしさが込み上げてきました。
瓢水の句にピンと来ない人が増えたのは、レンゲソウが身近でなくなったことの裏返しかもしれません。◇
「明治文学全集29 北村透谷集の蓮華草の項」(著者:北村透谷、発行所:筑摩書房)
「野をいろどる植物」(著者:南光重毅、発行所:誠文堂新光社)
「たね図鑑②野草のたね」(著者:おくやまひさし、発行所:汐文社)
※参考サイト
「レファレンス協同データベース」
「みんなの花図鑑」
「Yahoo!知恵袋」
「にちにち 手に取るな やはり野に置け 蓮華草」
花コラム 第68回:ラナンキュラス~金運をアップさせる花
第68回:ラナンキュラス~金運をアップさせる花 2023.4.1 値上げラッシュが続きます。年度替わりの4月は数多くの食品や日用品などが一斉に値上げされ、気が滅入ります。 ラナンキュラスはキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、和名はハナキンポウゲ(花金鳳花)。早春から春にかけて開花します。カエルが住むような湿地に自生することや、葉=写真=がカエルの足に似ていることなどから、カエルを意味するラテン語「rana(ラーナ)」が語源になったと言われています。 花言葉は「輝く魅力(radiant charm)」「あなたの魅力に目がくらむ(dazzled by your charms)」「お祝い」「幸福」など。その花姿から連想されたのでしょうが、金運という言葉は出てきません。「金運がアップする」という花屋さんのポップ広告は、家の中に花を飾ることで運気がアップするという花風水によるものでした。 風水の基本は、万物は「水・火・木・金・土」の五つの要素に分類されるとする思想「五行説」と、万物を陰と陽の二つのカテゴリーに分ける思想「陰陽説」が結び付いた「陰陽五行説」にあります。五つの要素には、それぞれ相性があります。相性の良いものをバランス良く組み合わせると、お互いを生かし合い、運気を高める「相生(そうじょう)」という効果が生まれるとされています。 花風水を解説したサイトは色々とあり、お勧めの方角も異なります。その中の一つに「ラナンキュラスを部屋の中心から北西に飾ると、金回りを良くする金運が高まる」という記述がありました。試しに、その通りに買い求めたラナンキュラスを飾りました。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
気分転換に花屋さんをのぞくと「金運がアップする花!」と手書きしたポップ広告が目に入りました。ラナンキュラスの宣伝でした。赤、黄、ピンクなど色鮮やかな花びらが幾重にも重なり、見るからにゴージャスな花です。広告に誘われて、花びらの先端がピンク色に縁どられた黄色い花を一鉢買いました。カエルが名前の語源になった
西アジアや中近東が原産で、十字軍がヨーロッパに持ち帰り、その後、色とりどりの花に品種改良されました。毎年、新しい品種が作出され、今では1000品種以上もあります。一重咲き、八重咲き、万重咲きなど花形もバラエティに富んでいます。花風水によると
花は運気を呼び込むアイテム
「水」と「木」の要素からなる花は、運気を呼び込む強力なアイテムになるという訳です。豊かになるものは?
それから1週間。懐が豊かになる気配はありません。が、毎日眺めていると、心は豊かになる気がしてきました。◇
「NHKテキスト趣味の園芸 2022年3月号(編集、発行:NHK出版)
「日本の風水」(著者:諏訪春雄、発行:KADOKAWA)
「一輪の花で幸せになる 花言葉 花飾り」(編者;フルール・フルール、発行:池田書店)
「Dr.コパの[花風水]」(著者:小林祥晃、発行所:廣済堂出版)
※参考サイト
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「ラナンキュラスの花言葉」
「Oggi.jp ラナンキュラスの花言葉に怖い意味はある?」
「花言葉‐由来」
「となりのカインズさん 花風水で運気アップ!」
「運気が上がる、邪気を払う花」
「花風水で運気を高める」
花コラム 第67回:織田信長とボケの花
第67回:織田信長とボケの花 2023.3.1 木村拓哉が織田信長を、綾瀬はるかが濃姫を演じる話題作『THE LEGEND & BUTTERFLY』が、1月末に鳴り物入りで封切られました。東映70周年記念映画とあって、時代考証にも力を入れたのでしょう。出陣するキムタク、いや信長が被っていた兜に「織田木瓜(おだもっこう)」=写真=の家紋が輝いていました。 戦国時代の武将はどのような家紋を使っていたのでしょうか?当時の正式な記録は見当たりませんが、約200年後の寛政年間に、江戸幕府が10万人もの大名や旗本の家系を1520巻にまとめた「寛政重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)」=写真=を編修しています。それによると、信長は七つもの家紋を用い、状況に応じて使い分けていたようです。その中でも最も知られ、信長の代表的な家紋とされているのが木瓜紋です。 木瓜紋は一見すると花のように見えます。しかし、実は何がもとになったのかは、はっきりしていません。「キュウリの切り口をデザイン化した」「卵の入った鳥の巣を表している」「ボケの花をもとにした」「御簾(みす=宮殿などに用いられるスダレ)の帽額(もこう=スダレの横に貼る装飾用の幕)を模した」…。本やサイトによって、てんでばらばらに書いてあります。 木瓜は「もっこう」の他に「ぼっか」「もっか」「もけい」など様々な読み方をされます。木(き)と瓜(うり)を訓読みすれば「きうり(きゅうり)」になります。木瓜紋はキュウリの切口だという説はここからきています。さらには、忘れてならないのは、春の訪れを告げる花・ボケ=写真=の漢字でもあります。 バラ科ボケ属のボケは落葉低木です。果実が瓜に似ており、木になる瓜ということから「木瓜」の漢字が当てはめられたと言われています。鮮やかな濃い紅色、緋色の梅のような五弁の香り豊かな花を咲かせます。その美しさから、庭木や生垣、盆栽、切り花などとして人気があります。 信長は若い頃から奇矯な行動が多く、「尾張の大うつけ」と呼ばれました。映画の中では、濃姫が信長に「お前様のようなうつけ!いつでも寝首をかいたるわ」と言い放つ場面があります。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
信長は七つの紋を使い分けた
木瓜紋のもとに諸説
木瓜の読みは様々
色鮮やかなボケの花
通常の木瓜紋=写真左側=は少し横長の四弁ですが、織田木瓜紋=写真右側=は五弁です。このことも、紋はボケの花をもとにしたという根拠の一つになっていると思われます。「ぼけ」は「うつけ」の関西弁
「うつけ」は愚かな、ぼんやりとした人のことを言います。関西弁では差し詰め「ぼけ」が近い意味の言葉になるでしょう。「あほ、ぼけ」は吉本新喜劇でもお馴染みの、関西人がよくつくとされる悪態です。
「うつけ者」信長の家紋は「ぼけ」の花をもとにしたーという説が、関西の方にはしっくりくるかもしれません。◇
「家紋の世界」(編集:中村実季、高部哲男、発行所:イースト・プレス)
「家紋のすべてがわかる本」(監修:高澤等、発行所:PHP研究所)
「家紋と名字」(著者:網本光悦、発行所:西東社)
「面白いほどよくわかる 家紋のすべて」(監修:安達史人、発行所:日本文芸社)
※参考サイト
「国立国会図書館デジタルコレクション寛政重修諸家譜」
「織田信長の家紋」「織田木瓜紋」「戦国ヒストリー」「刀剣ワールド」
「AERAdot.10th 春を告げる『ボケの花』と『河童』の奇妙な縁(えにし)とは?二十四節気『啓蟄』」
花コラム 第66回:パンジーが微笑んで見える世の中に
第66回:パンジーが微笑んで見える世の中に 2023.2.1 人の顔のように見える模様を持つ魚「人面魚」はブームになったことがあり、その存在はよく知られています。それでは、人の顔のように見える模様を持つ草花「人面草」はご存じでしょうか? パンジーはスミレ科スミレ属の一年草です。原産地はヨーロッパで、江戸時代末期に日本に渡来しました。姿かたちは蝶々のようにも見えます。当時は「遊蝶花」「胡蝶草」などと呼ばれていました。 品種改良が進み、今ではパンジーは何百種にも増え、毎年のように新しい品種が誕生しています。咲き方は八重咲き、フリル咲きなどがあり、色合いも豊富になったことから「三色スミレ」の名前はふさわしくなくなり、代わりに英語名「pansy(パンジー)」の名前が定着しました。 10月頃から出回り、上手に育てれば半年以上も開花するので、冬から春にかけての園芸には欠かせないアイテムになっています。園芸の本には、パンジーを植えると「庭や家まわりがキラキラ輝く」と書いてあります。 花によって模様は異なり、表情は豊かです。アメリカのF・スコット・フィッツジェラルドの小説「the Great Gatsby(グレート・ギャッツビー)には「Kiss me at the garden gate(門のところで私にキスをして)」という名前の植物が出てきます。どの植物を意味するのかについては諸説がありますが、一説によるとパンジーの別名だそうです。 性格を検査する方法にロールシャッハ・テスト=写真=があります。インクの染みを見て、何を想像するかで思考過程などを推定するというものです。パンジーの模様も、このテストに似ています。 当初は2、3年で終息するだろうと言われたコロナ禍は、丸3年が過ぎて4年目に入りました。国際情勢は緊迫の度を高め、物価高は生活をむしばみ始めています。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
私も最近になって知ったのですが、人面草はパンジーの異名だそうです。言われてみれば、パンジーは人の顔に似ています。花の少ない今の季節、花壇や庭を彩るパンジーは様々な表情で私たちを和ませてくれます。遊蝶花、胡蝶草、三色スミレ
年配の方には「三色スミレ」の方が馴染みがあるかもしれません。以前は、ほとんどの花が黄、紫、白色の三色咲きだったことから、この名前が付けられました。思索にふけるパンジー
パンジーが少し前に傾いて咲く様子は、人が思索にふけるように見えます。そこで、フランス語の「考え・思考・思想」を意味する「Pensée (パンセ)」にちなんで、パンジーと名付けられたと言われています。庭や家まわりがキラキラ輝く
「私にキスをして」という名前の花
どうしてパンジーの別名になったのでしょうか?これも一説ですが、パンジーの右側と左側の花びらがキスをしているように見えるからだといいます。困ったような顔、悲しそうな顔
今の私の目には、パンジーはキスをしているようには映りません。むしろ、困ったような、悲しそうな顔をしたパンジーが多いように見えます。模様のない「のっぺらぼう」の花も、心なしか憂いを漂わせているとさえ感じます。パンジーが微笑んで見える世の中に
見る人の気持ちによって、同じ花からでも受ける印象は違ってきます。パンジーの表情は、私たちの心情を映し出していると言えるでしょう。
誰の目にもパンジーが微笑んで見える世の中になるのは、いつのことでしょうか?◇
「奥峰子の わが家の花壇を美しく作るコツ」(著者:奥峰子、発行所:主婦の友社)
「花色を楽しむ パンジー・ビオラ250種 庭や家回りがキラキラ輝く」(監修者:大柿忠幸、平塚弘子、発行所:成美堂出版)
「趣味の園芸 パンジー&ビオラで元気になる!」(発行:NHK出版)
※参考サイト
「人面草(じんめんそう)」
「愉快な人面草」
「ヤサシイエンゲイ」
「ロールシャッハ・テスト」
「kiss-me-at-the-gateどんな花―英検一級をめざす英語」
花コラム 第65回:葉牡丹~日本人の審美眼が生み出した
第65回:葉牡丹~日本人の審美眼が生み出した 2023.1.1 2023年が明けました。コロナ禍はひきずったままですが、街中を歩くと、やはり改まった気持ちになります。その新春ムードを盛り上げるのに、葉牡丹(ハボタン)が一役買っています。 アブラナ科アブラナ属の葉牡丹は花の少ない冬場の貴重な花として重宝がられ、門松の添え物にもされています。もっとも、花と言っても、この季節に私たちが見ているのは本当の花ではありません。白や赤、紫、桃、クリーム色などに色付いた葉です。葉が牡丹のように綺麗に見えることから、葉牡丹と名付けられました。本当の花は4、5月頃に咲きます。黄色い、小さな、可愛い花=写真=ですが、殆ど見向きもされません。 葉牡丹の原種は地中海沿岸で食用として栽培されていたケールです。江戸時代前期までにオランダを経由して日本に渡来し、当初はオランダ菜と呼ばれました。キャベツやブロッコリーの原種もケールなので、子供の頃に葉牡丹を「キャベツの一種」と思ったのは、あながち間違いではありませんでした。 その95年後に本草学者・小野蘭山が著した『本草網目啓蒙』=写真=には「種樹家多く裁ゆ。……冬春交紫色に変じ葉皆相抱いて重葉、紫牡丹の如し。」とあります。この頃には、葉牡丹は商品として栽培されるようになりました。さらに、葉牡丹の味については触れず、姿かたちだけを記していることから、葉牡丹は食用ではなく、観賞用になっていたことがうかがわれます。 その後は観賞用の花として品種改良が進みました。江戸時代から東京で改良されてきた丸葉系=写真左側=はキャベツのように丸い葉をしています。名古屋で育てられた縮緬(ちりめん)系=写真中央=は葉に細かなチリメンがあり、フリルのようになっています。大阪で育てられた大阪丸葉系=写真右側=は丸葉系と縮緬系の交雑種で、葉の縁が波打つフリルになっています。この他、様々な品種があり、葉牡丹は地方それぞれの好みに応じて進化してきました。 ケールの葉の形や色に美しさを感じ取り、観賞用に栽培したのは江戸時代の粋人でした。食用の植物を観賞用に仕立て上げる例は少なく、外国ではケールはもっぱら食用か薬用として栽培されています。 葉牡丹には日本人の美意識が凝縮されている。そう思って、新春の街を彩る葉牡丹を眺めると、野菜ではなく、まさしく綺麗な花に見えてきました。 「花の名随筆12 ハボタンの文化史 今西弘子」(発行所:作品社)プレミアムフラワーの花コラム
子供の頃は葉牡丹を見て「どうして野菜が飾ってあるのだろう?」と思ったものです。キャベツの一種ぐらいにしか見えなかったのでしょう。葉が牡丹のように綺麗だから葉牡丹
野菜として渡来
本草学者・貝原益軒は『大和本草』(1708年)=写真=の中で「花は淡黄で大根の花のごとし。味良し。」と書いていることから、当時は日本でも野菜として食べられていたと思われます。食用から観賞用に
※種樹家=草木の栽培を生業とする人、裁(う)ゆ=土に植えて、育てること地方それぞれ違う形に進化した
祖先の審美眼が生み出した
日本産の葉牡丹は海外に輸出され、Flowering kale(花のケール)、Ornamental kale(観賞用ケール)などと呼ばれていますが、海外のサイトでは「IS ORNAMENTAL KALE EDIBLE?(葉牡丹は食べられるか?)」といった書き込みも見られます。ケールは食べ物という意識が強いのでしょう。葉牡丹は私たち祖先の審美眼が生み出した賜物と言えるでしょう。
ちなみに葉牡丹は食べられますが、苦くて美味しくはありません。それに、食用としては栽培されていないので、農薬がかかっていることがあり、注意が必要です。日本人の美意識の結晶
葉牡丹の紅白並べ福を呼ぶ(石川政男)◇
「花をめぐる物語 太田治子の章 葉牡丹」(発行所:かまくら春秋社)
※参考サイト
「国立国会図書館デジタルコレクション」
「描かれた動物・植物 江戸時代の博物誌」
「GARDENER’S PATH」「Garden.eco」
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「歳時記 葉牡丹1」
花コラム 第64回:花を贈り、捧げる心
2022.12.1 第64回:花を贈り、捧げる心 街角にクリスマスソングが流れ始めました。「あの人には何がいいかな?」。愛する人、親しい人への贈り物をあれこれ考えるのは、この季節の楽しみの一つです。店頭やネットには様々な商品があふれ、迷うことが多いのですが、贈り物、捧げ物の定番といえば、やはり花に尽きるでしょう。 1960年代にイラク北部のシャニダール洞窟で、ネアンデルタール人の遺骨が見つかりました。そばに数多くの花粉の化石があったことから、「4万年以上前から死者に花を手向ける習慣があった」と大きなニュースになりました。その後、「花粉は風に運ばれてきたか、小動物に付着していたものでは」という異論も出ましたが、花が古代人の身近にあったことは間違いありません。 宗教においても、花はなくてはならない存在です。仏教では蓮は極楽浄土に咲く花とされています。イスラム教では白いバラはムハンマド、赤いバラは神アラーを表します。キリスト教では様々な場面で色々な花が登場します。 クリスマスにまつわる言い伝えも数多くあります。イエス様が生誕した時、貧しい少女がお祝いに駆け付けましたが、「私には贈るものがない」と泣いてしまいます。涙が土に落ちると、そこから真っ白なクリスマスローズ=写真左側=が咲きました。少女はその花を摘んで、イエス様に捧げました。 このような言い伝えは、贈り物や捧げ物の価値は金銭の多寡や物の値段で決まるのではない、感謝する純粋な気持ち・心が大切なのだと説いています。 ※「ゆりの行列」の写真は不二聖心女子学院のホームページから転載。プレミアムフラワーの花コラム
花は贈られても、実生活に役立つことはありません。時が来れば、枯れてしまいます。それでも、安らぎ・癒しのひと時をもたらしてくれる花は、私たちにとって掛け替えのないものです。いつから花は人々の身近にあったのでしょうか?古来、人々は花と共に
西暦79年のヴェスヴィオ火山の大噴火で地中に埋もれた古代都市ポンペイの遺跡からは壁画「花を摘むフローラ(花の精)」=写真、国立ナポリ考古美術館所蔵=が発掘されました。いつの世も、花と少女は絵になるようです。古来、人々は花と共に生きてきました。花と宗教
キリスト教の価値観に基づいた教育方針を掲げる聖心女子学院では毎年12月、「ゆりの行列」という行事が催されます=写真=。原罪のすべての汚れから自由であった(無原罪)聖母マリアを祝って、児童や生徒が「マリア様、私の心の百合をお捧げします。生涯、清く保つことが出来ますように」とお祈りしながら、白いユリを捧げます。クリスマスにまつわる言い伝え
クリスマスイブにメキシコの山間に住む貧しい少女はイエス様への贈り物が買えないので、教会に入るのをためらうと、天使の像が「私の羽根のまわりにある雑草を摘んで、持っていきなさい」とささやきました。少女が雑草をかかえて祭壇に向かって歩いていくと、雑草は真っ赤なポインセチア=写真右側=に変わりました。花を贈り、捧げる心
献金しないと不幸になるという脅迫観念を植え付け、借金をさせたり財産を処分させたりして貢がせ、信者の家族を不幸に追いやる宗教団体が問題になっています。花を贈ったり捧げたりする心とは、およそ無縁の話です。◇
※参考図書
「季節を彩る花物語『宗教と花』鈴木健久 2010年11月2日東京新聞夕刊」
※参考サイト
「兵庫県立 人と自然の博物館 障害のあったネアンデルタール人は幸せだったか?三谷雅純」
「ポンペイ壁画集⁻国立国会図書館デジタルコレクション」
「花コラム第4回『ポインセチアは心浮き立つ花』」
「花コラム第16回『クリスマスローズ~うつむいて咲く訳は』」
「不二聖心女子学院 学院ダイアリー」
花コラム 第63回:皇帝ダリア~足元を固め、周囲の変化に適応して
2022.11.1 第63回:皇帝ダリア~足元を固め、周囲の変化に適応して 冷気が漂い、花が少ない季節になると、ひときわ背の高い皇帝ダリアが直径20㎝近くものピンクや紫色の大輪の花を咲かせます。辺りを見下ろすようにして咲く姿は貫禄十分、まさに皇帝です。 キク科多年草のダリアはメキシコ、中米、コロンビアの原産で、品種は3万を超え、世界で最も品種の多い花と言われています。豪華な大輪の花や可憐な小輪。花の色は白、赤、黄、オレンジ、ピンク、紫。花びらが丸く集まって咲くポンポン咲=写真左側=、平たく幅広い花びらが重なるデコラティブ咲=写真中央=、細い花びらが固まって咲くカクタス咲=写真右側=。大きさや色、咲き方は様々で、同じ花とは思えないほどバラエティーに富んでいます。 数多いダリアの中で最も目立つのは、“ダリアの王様”とも呼ばれる皇帝ダリアです。大半のダリアの草丈は1mほどですが、皇帝ダリアは総じて高く、中には5、6mの花もあります。民家の2階以上に相当する高さです。初めて皇帝ダリアを見た時は「こんなに高くて、よく立っていられるな?」と驚きましたが、茎を見て「なるほど」と思いました。 緑色で直径は4、5㎝、節があります。竹のように見えますが、触ってみると竹よりはるかに硬く、カシやケヤキに近い感じです。茎が木に化ける「木化(木質化)」という現象を起こしているのです。 ダリアは7月頃から咲き始めますが、皇帝ダリアは11月から12月にかけて咲きます。真打ちが最後に登場するようにダリアのトリを務めますが、もったいぶって遅く咲く訳ではありません。 ダリアは日が短く、夜が長くなると花を咲かせる短日植物です。単に暗い時間(暗期)が長くなればいいというものではなく、暗期が一定以上、連続しなければ花をつけません。中でも皇帝ダリアは、他のダリアより長い暗期を必要とします。このため、近くに街灯や家の灯りがあると、日が長いと勘違いして花芽をつけないこともあります。光に関しては、皇帝はなかなか神経質なようです。葉がセンサーとなって、微妙な明暗を感じ取っているのです。 絶対的な力を持つ皇帝はドンと構え、少々のことでは動じないように見えます。その実、皇帝たるものは足元をしっかり固めて、周囲の変化に適応して初めて君臨することが出来るということでしょうか。 ※参考サイトプレミアムフラワーの花コラム
ダリアはバラエティに富んだ花
よく立っていられるな?
茎が木に化けた
解説書によると、木化は細胞壁にリグニンという物質が沈着して、組織が硬くなって起こります。木化したお陰で、皇帝ダリアは高く生長しても倒れず、地中の水を先端にまで効率良く運ぶことが出来るという訳です。こうなれば草花というより、“木に咲く花”というべきでしょうか。“木立ちダリア”の異名があるのも頷けます。皇帝ダリアがそびえ立つのは、強い足腰に支えられてのことでした。ダリアのトリに登場する
皇帝たるものは
◇
「農林水産・食品産業技術振興協会 ダリアのプロフィール」
「のうがく図鑑 『木に化ける』仕組みに迫る!宮崎大学農学部」
「Plantia ダリアの王様『皇帝ダリア』」
「環境研ミニ百科」
※参考図書
「みんなの趣味の園芸 ダリア NHK出版」
「宝塚市花 ダリア」(発行:宝塚市役所農政課)
花コラム 第62回:秋明菊~美しい花は美しい名を持つ
2022.10.1 第62回:秋明菊~美しい花は美しい名を持つ 名は体を表す。名前はありのままの姿を表すものですが、美しい花の多くにも美しい名前が付けられています。胡蝶蘭(コチョウラン)、勿忘草(ワスレナグサ)、君影草(キミカゲソウ=スズラン)、杜若(カキツバタ)、紫陽花(アジサイ)、篝火草(カガリビソウ=シクラメン)、一人静(ヒトリシズカ)…。 秋明菊は草丈は70㎝ほどで、一重咲きと八重咲があります。まず先端に一輪咲き、続いてその脇に一輪ずつ順番に咲いていきます。一重咲きは白やピンクの5枚の花弁があるように見えますが、これは花弁ではなく萼(がく)が変化したものです。 秋明菊は中国から渡来しました。江戸幕府の五代将軍・徳川綱吉が「生類憐みの令」を制定する4年前の1681年に刊行された日本最古のガーデニング書「花壇綱目(かだんこうもく)」=写真=には、すでに秋明菊の名が記載されています。 花には学名の他に姿かたち、自生地、来歴などから様々な通称が付けられます。秋明菊は渡来後、京都・貴船一帯で自生したことから「貴船菊」の別名があります。さらには「秋牡丹」「しめ菊」「加賀菊」「越前菊」「唐(から)菊」「高麗菊」「秋芍薬(しゃくやく)」「紫衣(しえ)菊」…。数多くの通称を持つ花ですが、優雅さということでは秋明菊の右に出る名前はありません。秋明菊は秀逸の名前です。 数ある菊の中でも秋明菊は際立って優雅な花というイメージがありますが、実は秋明菊は菊の仲間ではありません。キンポウゲ科イチリンソウ(アネモネ)属の多年草です。ちなみに英語名は「Japanese anemone(アネモネ)」で、「chrysanthemum(菊)」の単語は使われていません。 そのキンポウゲにも別名があります。「ウマノアシガタ(馬の足形)」です。江戸時代は馬は蹄鉄でなく草鞋(わらじ)(※1)を履いていました。この草鞋がキンポウゲの葉の形に似ていることが、別名の由来と言われています。 (※1) 歌川広重の「浮世絵動物園 名所江戸百景」(太田記念美術館のホームページから転載)プレミアムフラワーの花コラム
これからの季節に咲く美しい名の花と言えば、秋明菊(シュウメイギク)=写真=が思い浮かびます。しみじみ眺めていたい花
作家の宇江佐真理氏は著書の中で「派手さはないが、しみじみ眺めていたくなる」花だと評しています。『秋冥菊』から『秋明菊』へ
中国では、この世のものとは思えないほど美しい「秋に咲く黄泉の国の菊」という意味で『秋冥菊』と書かれていました。『冥』には「黄泉の国・冥土」の他に「光がない・暗い」という意味があります。日本では反対の意味の漢字『明』に置き換えて『秋明菊』と書き換えられました。秋に咲く明るい菊。縁起をかついだのでしょう。これで印象はころっと変わりました。数多くの通称の中でも秀逸
菊ではなく金鳳花の仲間
秋明菊の科名のキンポウゲ=写真=は黄金色の綺麗な花で、漢字では「金鳳花」と書きます。花を鳳凰(ほうおう)に見立てて、この名が付けられました。やはり美しい花は美しい名を持っているものです。物事には例外が付き物
それにしても、お世辞にも綺麗な名前とは言えません。コラムの冒頭で「美しい花には美しい名前が付けられる」と書きましたが、補足します。物事には例外が付き物です。◇
※参考図書
「糸車」(著者:宇江佐真理、発行所:集英社)
※参考サイト
「みんなの趣味の園芸」(NHK出版)
「ガーデニングの図鑑」
「GARDEN STORY 秋の風情を感じる優雅さ 秋明菊の特徴、花言葉、育て方」
花コラム 第61回:ペンタスは希望を叶える花
2022.09.1 第61回:ペンタスは希望を叶える花 終わりの見えないコロナ禍、執拗に続くロシアのウクライナ侵攻、ジワジワと押し寄せる物価高‥‥。今年の夏は、八方ふさがりの状況に記録的な猛暑と水害が追い打ちをかけました。晴れない気持ちで歩いていると、道端の小さな花壇で少しホッとする花に出合いました。 常緑多年草の「ジャノヒゲ(蛇の髭)」を取り囲むようにして、赤、白、ピンク色のペンタスが咲いています。直径が1㎝にも満たない小さな星形の花が数十輪まとまって咲く様は、色とりどりの小さな傘を並べたようです=写真=。 アカネ科ペンタス属のペンタスは熱帯アフリカ、アラビア半島が原産の多年草で、草丈は30~50cmほどになります。 5弁花の中でも、ペンタスほど綺麗な五角形をした花はそうそうありません。古来、人々は星の輝きを五角形に図案化してきました。ペンタスを見て、多くの人がまず五角形を思い浮かべ、ついで星を連想したということではないでしょうか。中国では五星花と呼ばれています。 花がまとまって咲く様子は私には「傘を並べたよう」に見えましたが、英名では何とも壮大な表現になります。「Egyptian star cluster(エジプトの星団)」。「cluster」には群れ、集団、房、塊などの意味があります。同じ単語でも、新型コロナウィルス感染症のクラスターとは大違いです。 初めて花壇のペンタスを見かけてから1か月ほど経ちますが、ペンタスは「今が盛り」とばかりに元気に咲き続けています。園芸の本には花期は5~10月と書いてあります。暑さに強い、実に生命力のある花です。「これだけ強い花なら育てるのは楽かもしれない」と思いました。 先日、花壇を管理している近くの方が、しゃがみ込んで手入れをしているのを見かけました。「丈夫な花ですね」と声をかけると「そうですね。でも、手入れはそれなりに大変なんですよ」という予期しない返事が返ってきました。 ペンタスは長く咲くので、堆肥は多めに施す必要があるそうです。成長が早く、見た目のバランスが悪くなるので、伸びすぎた枝や茎を切り取って整えなければなりません。この剪定(切り戻し)をすることによって風通しが良くなり、ペンタスは元気になって、病害虫から身を守ることになります。花がしおれてきたら、花がらを摘み取ります。もちろん、水やりも忘れてはいけません。 こうした丹念な手入れをすることによって、ペンタスは何度も新芽を出し、新しい花を咲かせます。「丈夫だから育てるのは楽かもしれない」と思ったのは、大きな間違いでした。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
花言葉に託したい
ペンタスの花言葉は「希望が叶う」「願い事」。今まさに、この花言葉に託したいことは一杯あります。「5」が語源の花
学名「Pentas」は古代ギリシャ語の「5」を意味する「pente」が語源です。花びら(花弁)が5枚あることにちなみますが、花の4割近くは5枚の花びらを持つ5弁花と言われています。数多い五弁花の中で、わざわざ5弁にちなむ学名がペンタスに付けられたのはどうしてでしょうか?星に願いを
星を見れば、願いをかけたくなります。そこで「希望が叶う」などの花言葉が生まれました。ディズニー映画「ピノキオ」の主題歌は「星に願いを(When You Wish upon a Star)」でした。同じクラスターでも大違い
育てるのは楽?
予期しない返事
施肥、切り戻しに花がら摘み
何事も日頃が大事
丈夫な寿命の長い花も、日頃の丹精を込めた手入れがあって初めて綺麗に咲きます。「希望を叶える」のには、日頃の地道な努力が欠かせないように……。◇
「NHK趣味の園芸 2022年8月号」
「自然界にひそむ『5』の謎」(著者:西山豊、出版社:筑摩書房)
※参考サイト
「Plantia」
「魅る魅るガーデニング」
「花びらはなぜ5枚なの/自然界の摂理」
「メディアサイト ヒラメキ工房」
「世界の民謡・童謡 星に願いを」
花コラム 第60回:鬼灯と風船唐綿~花が主役の座を奪われた
2022.08.1 第60回:鬼灯と風船唐綿~花が主役の座を奪われた 今回のコラムのタイトルは、漢字の読み方のクイズのようになりました。「ホオズキ」と「フウセントウワタ」と読みます。鑑賞植物の中には花が脇に追いやられ、実や葉、茎などが主役の座を奪うものがあります。夏の風物詩・ホオズキとフウセントウワタの場合は…。 ホオズキと言えば、真っ先に赤い、小さな紙風船のような袋がぶら下がった姿が思い浮かびます。これを提灯に見立て、お盆に帰ってこられるご先祖様の目印になるようにと、玄関や仏壇周りに飾る風習があります。お盆の間、ご先祖様の魂はホオズキの中に宿ると言われています。「鬼灯」と書くのは、空中に漂う火の玉「鬼火」からの連想と思われます。 子供の頃に袋の中にある赤い実の中身をくり抜いて、ホオズキ笛を作ったことがあります。私はなかなか音を出せませんでしたが、近所のお姉さんが「ギュッ、ギュッ」と上手に鳴らしていたのを思い出します。 ホオズキはナス科ホオズキ属の一年草または多年草で、原産地は東アジア。赤い袋は花の付け根にある萼(がく)が果実を包み込んで、丸く膨らんだものです。 ホオズキを探して近くの公園を歩いていると、白っぽい紙風船のような袋がぶら下がっている花木を見かけました。「えっ、白いホオズキ?」と遠目に思い、近づいて見ると薄緑色のフウセントウワタでした。袋には柔らかいトゲが付いており、ハリセンボンのようにも見えます。 フウセントウワタは、直径1.5cm程度の白っぽい花を数輪束ねたようにして咲かせます=写真左側=。花が咲いた後、果実が膨らんで袋状になり、熟すと割れて、中から綿毛の付いた種=写真右側=が出てきます。原産地では、この綿毛を集めて、クッションの詰め物にしたと言われています。 ホオズキの花言葉は、袋は大きいのに、中は空洞で種も小さいことから「偽り」「ごまかし」。フウウセントウワタの花言葉は、袋の中に詰まった綿毛がはじけて飛んでいく様子から連想して「いっぱいの夢」「隠された能力」。どちらも花言葉なのに、花にちなんだものではありません。ここでも、花は脇役に押しやられています。 ホオズキとフウセントウワタの花は愛らしくて、可憐な花です。しかし、申し合わせたように、小ぶり、地味な色で、下向きに咲きます。まるで主役の萼や果実に遠慮しているかのようです。赤や薄緑の目立つ袋さえなければ、もっと注目されるだろうにーと思うと、少し気の毒になってきました。 ※参考図書プレミアムフラワーの花コラム
ご先祖様が帰ってこられる目印
「ほおずき市」が3年ぶりに開催
コロナ禍で中止になっていた東京・浅草の縁日「ほおずき市」は先月、3年ぶりに開催され、多くの人で賑わいました。買って帰って、ホオズキ笛を作って遊んだ親子もいたことでしょう。開花期と観賞期が違う訳は?
花期を調べると「開花期は6~7月、観賞期は8~9月」と『みんなの趣味の園芸』(NHK出版)に書いてありました。開花期と観賞期が違うのは、ホオズキの観賞対象は花ではなく、花が散った後に赤く色づく袋状の萼ということです。
ホオズキの花と言われても、すぐに思い浮かばない方もいるかもしれません。直径1~2cmの淡いクリーム色の五弁の花です=写真=。白いホオズキ?
カガイモ科フウセントウワタ属のフウセントウワタは、アフリカ南部原産の一年草です。先の本では「開花期は6月下旬~9月、観賞期は8月~9月(果実)」と記されており、ホオズキと同じように観賞対象は花ではなく、薄緑の袋状になった果実です。風船のような外国産の綿
風船のような外国産の綿ということで、「風船唐綿」の漢字が当てはめられました。「唐」は中国の王朝の名ではなく、渡来してきたという意味合いです。花にちなまない花言葉
主役に遠慮して控えめに
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「みんなの趣味の園芸 ホオズキ」(NHK出版)
「埼玉の童話」(編集:日本児童文学者協会『県別ふるさと児童館』編集委員会、発行所:リブリオ出版)
※参考サイト
「ガーデニングの図鑑」
「replant.tokyo」
「花言葉.net」
「仏壇のあるリビング お盆のほおずきの飾り方」
「風船みたいな実の植物」