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花コラム

花コラム第109回:菊晴れ、菊日和

プレミアムフラワーの花コラム

第109回:菊晴れ、菊日和

2026.11.1

 大雨、長雨や台風の度重なる発生など散々な天気が続きましたが、ようやくは秋らしい青空が時折り広がるようになりました。菊の花が盛りの今頃、爽やかに晴れ渡ることは「菊晴れ」、澄んだ秋の日は「菊日和(きくびより)」と言います。11月は菊の月。各地で菊花展が開かれ、賑わっています。
  ※写真は「太宰府天満宮秋芳会菊花展」(大宰府観光協会のHP)

菊が渡来したのは

 菊は日本の古来種と思っていましたが、調べてみると原産地は中国でした。奈良時代(710~794年)末期に編纂されたとみられる「万葉集」には157種の植物が詠まれていますが、菊は全く登場しません。そして、平安時代(794~1185年)に編纂された「古今和歌集」=写真=になると、次ぎのような菊を詠んだ歌がいろいろと出てきます。この頃に菊が日本に渡来したと思われます。
 《心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花 凡河内躬恒》(それと見当をつけて、もし折るというのであれば折ってみようか。初霜が降りて見分けがつかなくなった白菊の花を) ※現代語訳は全日本かるた協会

桜は“庶民の花”

 日本には法律で定めた国花はありませんが、「菊と桜が日本の国花」というのが国内外での共通の認識でしょう。日本を代表する、この二つの花のイメージはかなり異なります。
 警察のバッジ(徽章)「旭日章」は朝日が昇る姿をモチーフにしており、周囲に桜をあしらったもの=写真左側=は「桜の代紋」と呼ばれています。ラグビーの日本代表チームは「桜のジャージ」=写真右側=を着用。数多くの学校の校章には桜が使われています。
 桜前線の列島北上は毎春、大きなニュースになり、お花見は国民的な行事になっています。桜は多くの人に馴染みのある“庶民の花”と言えるでしょう。

菊は権威、格式を連想

 菊のイメージはいささか違ってきます。皇室の紋章=写真左側=は菊。国事に殉じた人の霊をまつる靖国神社の神紋も菊で、日本国政府のパスポートの表紙=写真右側=には菊が大きくあしらわれています。
 菊は権威、格式を連想させます。そうはいっても、決して近寄りがたい花ではありません。童謡詩人・金子みすゞの「花のお使い」に出てくる女の子は菊を手にしています。

「花のお使い」

 白菊、黄菊、
 雪のような白い菊。
 月のような黄菊。

 たあれも、誰も、みてる、
 私と、花を。
 (菊は、きィれい、
 私は菊を持ってる、
 だから、私はきィれい。)

 叔母さん家は遠いけど、
 秋で、日和で、いいな。
 花のお使い、いいな。

菊も“庶民の花”

 菊はきれい→その菊を私は持っている→だから私はきれい。三段論法とでもいうのでしょうか。女の子が菊を手にして得意げに歩く、微笑ましい姿が思い浮かびます。権威、格式のある感じのする菊もまた“庶民の花”なのです。

◇

※参考サイト
「矢崎節夫館長コラム『花のお使い』」
「全日本かるた協会」
「みんなの趣味の園芸」
「大宰府観光協会」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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