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花コラム

花コラム 第77回:咲くのは稀、咲いても近寄れない花~リュウゼツラン

プレミアムフラワーの花コラム

第77回:咲くのは稀、咲いても近寄れない花~リュウゼツラン

2024.1.1

 2024年が明けました。今年の年賀状には、辰年にちなむ様々なイラストが描かれていたことでしょう。

竜の代わりのイラストに

 読売新聞の先月の連載漫画「コボちゃん」(植田まさし作)では、おじいちゃんが散歩中にリュウゼツランの葉を見かけました。コボちゃんに「竜の舌の蘭と書く」と教え、コボちゃんは「へー いかにもそんな感じ」と感心します。おじいちゃんは帰宅してすぐに、年賀状にリュウゼツランの葉の絵を描き始めました。おばあちゃんが「竜はむずかしいから、そう逃げたか」と皮肉を言うと、おじいちゃんは「逃げてません!」とむきになりました。
 架空の動物である竜は、十二支の中では最も描きにくい姿をしています。おじいちゃんが竜の代わりにリュウゼツランの葉の絵を描いた気持ちも分かります。

トゲのある肉厚の葉は竜の舌のよう

 リュウゼツラン(竜舌蘭)はキジカクシ科リュウゼツラン属の常緑の多年生植物で、アガベとも呼ばれます。名前に蘭の字がついていますが、ラン科の植物ではありません。
 アガベは総称で、約300種あるうちの一種がリュウゼツランとされることもあります。鋭いトゲのある肉厚の葉は竜の舌のように見えることから、この名前が付けられました。

ワイルドな雰囲気が人気

 アメリカ南西部から中南米にかけての乾燥地帯で自生しており、葉や茎などは先住民の食料として消費されていました。メキシコで樹液を発酵させて作られたお酒がテキーラです。

日本へはアガベの基本種であるアオノリュウゼツランが江戸時代の後期に渡来しました。日本ではもっぱら園芸植物として扱われてきました。ワイルドな雰囲気が人気で、植物園や庭園などで植栽されています。

最後に“ひと花を咲かせる”

 リュウゼツランは直径が2mもあり、四方に突き出た葉は迫力があります。一度見たら忘れられない姿をしていますが、花はどうでしょうか? 「葉は知っているが、花は見たことがない」という人が多いのではないでしょうか。そのはずです。めったに咲かない花だからです。私も花は写真でしか見たことがありません。
 リュウゼツランは100年に1度だけ咲く“センチュリープラント”と言われています。実際には、日本で咲くのは30~50年に一度。咲いた後はゆっくりと枯れていき、その株は生涯を閉じます。まさに最後に“ひと花を咲かせる”ということになります。

下から見上げる高貴な花

 開花前は花茎が数メートルも真直ぐに伸び、茎の上の方でバナナの房のような蕾を沢山つけて、黄色い花を咲かせます。花茎は10m以上も伸びることがあり、咲いても遠目でしか見られません。5年前に関西学院大学の上ヶ原キャンパス(兵庫県西宮市)で、2年前には文京学院大学(埼玉県ふじみ野市)で花が咲きましたが、学生らは下から見上げることしか出来ませんでした。
 リュウゼツランの花言葉は「繊細」と「貴婦人」。竜の舌と貴婦人とでは、イメージが随分と異なります。花を見られるのは稀。しかも高いところで咲くので、近寄っては見られない。そこで、大邸宅の奥にでも住む高貴な婦人を連想したのでしょうか。
  ※写真は関西学院大学のホームページから転載。

おじいちゃんが花を描いていれば‥‥

 コボちゃんのおじいちゃんがリュウゼツランの花を見ていれば、年賀状に葉ではなく花の絵を描いたに違いありません。しかし、賀状を受け取った人の多くは、見たことのない花の姿に「何の花かな?」と首をかしげたかもしれません。

※参考図書
「12か月栽培ナビ アガベ」(著者:〓岡秀明、発行所:NHK出版) ※「〓」は鶴の旧漢字
「乾燥地帯の珍奇植物 ドライガーデン」(監修者:佐藤桃子、発行所:日本文芸社)
「読売新聞2023年12月7日付け朝刊」

※参考サイト
「関西学院大学ホームページ」
「文京学院大学のホームページ」
「リュウゼツランは一生の終わりに一度だけ咲く 伊豆シャボテン公園」
「私が関わった生き物たち 東邦大学薬草園技術員40年の歴史」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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