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花コラム

花コラム 第71回:サルスベリ~本当に木が笑うの?

プレミアムフラワーの花コラム

第71回:サルスベリ~本当に木が笑うの?

2023.7.1

 大概の花は、学名とは別に幾つもの名前を持っています。そして、「同じ花なの?」と思うほど、名前のイメージが異なることも珍しくありません。
 例えば「Lagerstroemia indica (ラジェルストレミア・インディカ)」という舌をかみそうな学名の花=写真=。「サルスベリ(猿滑り)」と言い直せばユーモラスな感じがしますが、「百日紅(ひゃくじつこう)」と書けば、しっとりとした印象になります。

これからの季節を彩る

 サルスベリはミソハギ科サルスベリ属の落葉高木で、夏から秋にかけて白や赤、ピンクなどの花を次々と咲かせます。一つひとつの花は小さくて縮れていますが、房状にまとまって咲くので、ボリューム感があります。花の少なくなる、これからの季節を彩ってくれる花です。

学名には発見者の名前が

 植物には世界共通の学名が付けられています。言わば、植物の本名といったところでしょうか。属名や種小名などをラテン語で列記、一般的には発見された地名や発見者の名前などが盛り込まれます。NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルになった植物学者・牧野富太郎が名付けたヤマトグサ=写真=の学名は「Theligonum japonicum Okubo et Makino」。最後に牧野の名前が入っています。

名前には訳がある

 和名は花の生態、形状、特徴などから付けられます。サルスベリは幹肌=写真=が猿も滑りそうなほどツルツルと滑らかなことから名付けられました。同じ理由で「サルナカセ(猿泣かせ)」とも言われます。百日紅は、初夏から秋までほぼ100日間も咲いていることに由来します。
 この他にも異名はいろいろとあります。長い期間咲いているから「千日花」、落葉樹の中で春の芽吹きが最も遅いことから「なまけの木」、お盆のお供えの花になるから「盆花」、幹に皮がないように見えることから「無皮樹」…。いずれの名前にも訳があります。

サルスベリは笑う!?

 まだまだあります。「笑いの木」「こちょこちょの木」…。埼玉県では「くすぐりっき」、鹿児島県では「くすぐりのき」という方言もあるそうです。
 サルスベリが、どうやって笑うのでしょうか? 『洛中洛外 虫の眼 探訪』に「すべすべした樹幹を撫でさすると、くすぐったげに身震いして、梢の葉や花が笑うかのように動く」と書いてありました。本当でしょうか?

笑うメカニズムは?

 日本植物生理学会のホームページの『植物Q&A』に「百日紅=写真=は、くすぐると上の枝が揺れるとのことですが、そのメカニズムについては解明されているのでしょうか?」という質問が載っていました。学会の担当者は「なかなかユーモラスな話ですが、そんなことは起こらないと思います。私も試してみますが、是非、(質問者も)試してみて下さい。」と回答、現象そのものを否定しています。

確かに、枝や葉は揺れるが…

 私も近くの公園のサルスベリで試してみました。幹を触ってみると、思いのほか堅くて、しかも弾力性があるのに驚きました。さすると、確かに上の枝や葉は揺れました。弾力性がある分、他の木より揺れは大きいかもしれません。しかし、木が笑うというほどのことはありません。笑うというのは、少し大袈裟に面白おかしく表現したものなのでしょう。

笑いさざめく少女の感

 釈然としない思いでサルスベリ=写真=に関係した本を読んでいると、児童文学者の松谷みよ子さんの次の文章が目に留まりました。
 「細く長く枝をのばして、その先に小さな花をこぼれるように着けた百日紅が真夏の陽光に下で揺れている時、笑いさざめいている少女の感がある。」
 そう言われれば、いくつもの花が身を寄せ合うようにして咲いて風に揺れる様は、少女たちが集って、にぎやかに笑う姿を思わせます。サルスベリのイメージは呼び名によって違ってきますが、松谷さんの指摘はしっくりきました。

暑いさ中の外出の楽しみ

 間もなく、サルスベリの花が咲き始めます。公園や街路で花たちが集って「笑いさざめいている」と思うと、暑いさ中の外出にも楽しみが出来たようです。

※参考図書
「花の名随筆 7月の花」に収録の「百日紅」(松谷みよ子)
「みんなの趣味の園芸」(NHK出版)

※参考サイト
「日本植物生理学会 みんなの広場 植物Q&A こちょこちょの木」
「レファレンス協同データベース」
「論文での動植物の学名の記載方法」
「洛中洛外 虫の眼探訪」
「広島の植物ノート」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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